障がいのある友人たちの作品のご紹介
当店店主(私)は、以前別の職業をしていたときに、ある施設に出入りする機会があり、入所中の重度肢体不自由のある人たちと懇意になりました。それ以来とても大切な友人としてお付き合いしています。
こちらでご紹介するのは、その友人たちの作品です。
彼らは社会的にはひっそり暮らしています。社会の第一線で人から評価を受けることとは縁遠いかもしれません。
しかし、自分の、まったくオリジナルの小宇宙のような世界を持っています。それはなんと豊かなのだろう!!
私は心から感銘を受けました。
ご本人たちの了解を得て、ここでその一端を紹介させていただくことをお許しください。
池上 文男くん
      1950年生まれ
      
      池上くんの大好きなものは演歌。夜はCDをかけて楽しく聞き入っています。
      
      池上くんには仕事があります。それはブドウの実にかける袋を作ることで、その糊付けを担当しているのです。
      下肢にも上肢にも不自由があるので、床に寝ながらの仕事です。
      しかしその几帳面さといったら!! 仕事に対する強い自負を感じます。
      
      池上くんの趣味はクレヨン画です。一人でこつこつと描きためてきました。
      池上くんは強い向上心の持ち主です。池上くんは描くときにモチーフを決めています。一つのモチーフを決めると何枚も同じような絵を描きます。誰に批評されるわけでもありません。自分一人でいろいろと試しているのです。
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渡辺 雅江さん
      1958年生まれ
      
      雅江さんは全身に麻痺があり、寝たきりか、起こしてもらって車いすで過ごすかの生活です。
      言葉も聞き取りにくいので慣れないとコミュニケーションが難しいです。
      しかし、純真で心優しく、また明るい人柄なので、接する人が逆に癒されてしまいます。
      
      雅江さんの好きなものはさだまさしの歌と野球のジャイアンツ。
      
      雅江さんの趣味は詩です。数年前にはじめて作ったのが次の詩です。
このときは私が言われるままに代筆しました。これに私はまったく手を加えていません。この長い詩がすらすらと出てきたのです。びっくりするとともに感動してしまいました。
      
      以来、詩作は彼女の生きる証となりました。
阿久津 昭浩くん
      1961年生まれ
      
      阿久津くんは極度の肢体不自由のためベッドで寝たきりですが、その知的能力と思慮深さのため、だれからも一目置かれる存在です。
      
      以前から詩や物語などの創作活動に励んできました。また様々な方面の知識を貪欲に吸収しようとしています。
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阿久津くんは2007年3月30日逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。
赤坂 利和くん
     1957年生まれ
      
      赤坂くんの趣味はさだまさしのCDを聴くことです。また岩崎宏美さんも好きで、岩崎宏美さんと一緒に撮った写真は彼の宝物となっています。
      
      じつにおおらかでよく笑い、知的には何でもわかっている人ですが、超重度の肢体不自由でベッドで寝たきりです。
      身体を自分の意思で自由に動かせるのはほとんどまぶたの開閉ぐらいです。
      会話は、質問されたことに対し、YESのときはまぶたをパチパチさせる、という取り決めで行いますので、初めての人はコミュニケーションが難しいです。
      しかし彼の思っていそうなことをイメージして Yes か No かの質問をしていくと、見事に会話になるのです。
      高度の冗談もよく理解できますから、笑いながらの普通の会話なのです。
      
      彼はいくつかの詩を作りました。どのように作ったでしょう。上述の阿久津くんが隣のベッドにいます。彼らは旧知の仲なので、阿久津くんは赤坂くんが何を言いたいのかわかるのだそうです。他には知れないコミュニケーションの方法によって、阿久津くんは赤坂くんの言葉を言語化します。
      
      そのような方法で赤坂くんは次の詩を作りました。
詩  本当の幸せ & 僕とコンピューターとの 出会い 
      
      赤坂くんは、2003年11月28日 逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。