渡辺 雅江 詩集4

あき

あき
わたしは
あきがすきです
きらいな
なつがおわって
わたしの
すきな
あきがくる
あきって
わたしのこころは
いきたくなります
あきって
どこかへ
でかけてみたくなります
にっこうとか
あとは
あかぎやまとか
いろんなところへ
いきたくなります
だから
わたしは
あきがすきです
         (1996.09.03.)

まくら

まくらはいつごろからあるのかな
えどじだいにあるのかな
そのときはたかいまくらだって
みんなたかいまくらつかってねたんだって
くびつかれないかな
わたしだったらくびいたくなる
えどじだいのひとはくびがいたくならないのかな
いつごろからいまのまくらつくったのかな
おかあさんにきいてみた
「まさえよ まさえはしらないころめいじのおわりごろつくったって」
わたしは
「ああそうか わかったよ おかあさん」
おかあさんはまくらをぬった
わたしはききました
「ねえおかあさん なんでまくらまちへかいにいかないの」
「あのう」
おかあさんがゆった
「あのう まさえよ おかあさんはまくらぬうから まちでかわないよ」
「ふーん」
わたしはゆった
「そのなかみ」
わたしはきいた
「おかあさん なかみなに」
おかあさんがいいました
「そばがら」
おかあさんがゆった
「でも」
わたしはゆった
「なんでそばがらいれるの」
「あの」
おかあさんがゆいました
「あのまさえ そばがらはあたまをひやすんだってまさえ」
「ふーん ああそうか そばがらはあたまをひやすのか
ふーん わたししらなかったわ」
わたしはきいた
「おかあさんだれにきいた?」
おかあさんはゆいました
「おかあさんのおかあさんにききました」
「ふーん」
わたしは
「ふーん」
わたしはゆった
「おかあさんのおかあさんってあたまがいいんだね」
「だってせんせいだから」
わたしは
「おかあさんのおかあさんがぬったの まくら?」
おかあさんがいいました
「おかあさんのおかあさんは わさいのせんせいだった」
わたしは
「えーっ ほんとう?」
おかあさんがゆった
「そうだよまさえ わさいのせんせいだったよ」
わたしは
「しらなかったよ」
「おかあさんがまだちっちゃいころおかあさんにならいました」
「へえーっ」
わたしはゆった
「おかあさんはいくつのころならったの」
おかあさんはゆった
「じゅうしち」
「えーっ」
わたしはゆいました
「えーっ」
「がっこうがおわってじゅうななのとき
わさいをならいました」
わたしは
「すごいおかあさんだなあ」
おかあさんのおかあさんはすごい
じしょもっててようふくをはかるとき てではかっちゃう
ものさしつかわないで てではかっちゃう すごいよまさえ」
おかあさんがゆった
わたしは
「てではかっちゃうの」
と ゆった
             (1996.9.27.)

わたしのおにいちゃん

わたしはおにいちゃんのことすきです
わたしがゆうと
「どこかへいこうよ おにいちゃん」
「じゃあまさえ にっこうへいこうか」
「うん いこう」
おにいちゃんが
「まさえ よういできたか」
「おかあさんがまだようふくきてる」
おにいちゃんが
「はやく おかあさんいこうよ ようふくいいから なんでもいいから」
といいます
おかあさんが
「だってとしひろ にっこうはさむいよ あきはさむいよ」
「ああそうか」
おにいちゃんがいいました
「おれもなんかきよう じゃんばーきていこう」
そうしておにいちゃんがいくと なく いぬのべる
「おれもいきたいよ」
たろうもなく
「おかあさんどこいくの おれさびしいよ」
おにいちゃんがたろうにゆった
「まっててよ なんかかってくるよ だからまっててよ」
べるは わんわんわんわんわんなく
「おにいちゃんどこいくの」
おにいちゃんがゆいました
「べるにっこういくよ まってて なんかかってくるよ まってて」
べるはいう
「まってるよ」
わんとないていっちゃった
おにいちゃんが
「まさえいこうか」
わたしゆった
「いこう」
いきました
おにいちゃんがいいました
「まさえ どこみる」
「たき」
わたしゆった
おにいちゃんといっしょにたきまでいきました
わたしはゆった
「わあきれい たき きれいなたきだなあ」
おにいちゃんがたきのところへいって
しゃしんをとった
わたしといっしょに
おかあさんもとりました
おにいちゃんもおかあさんととりました
おにいちゃんはゆった
「あとどこみる まさえ」
「けごんのたき」
おにいちゃんはわたしのことつれていった
またたきをとった
おにいちゃんはゆった
「おかあさんもはいって まさえといっしょに」
とりました
おにいちゃんはかめらもって
たきをとりました
わたしがゆった
おにいちゃんて たきすき?」
おにいちゃんがいいました
「すきよ」
「ああそうか」
わたしはいいました
「おとうさんもすきだったなあ」
わたしはゆった
おにいちゃんが
「うん おとうさんもすきだったなあ」
おとうさんはやまがすきでした
だから
やまへいってなくなっちゃった
わたしはゆった
「おにいちゃんもあぶないところへいくなよ おとうさんみたいになっちゃうよ」
「へいき」
おにいちゃんがゆった
「おれへいき あぶないところへいかないよ」
かめらをもった
「あとはどこみる」
おにいちゃんはいいました
とうしょうぐうへいきました
「わあきれいだ」
おにいちゃんがいいました
「まさえ みたことある?」
「あるよ びょういんでいった」
「ふうん」
おにいちゃんがいいました
「おれみたことない」
「ああそうか」
おにいちゃんが
「まだこっちのみちとおってなかった」
「ふうん」
わたしはゆった
おにいちゃんがゆった
「いいなまさえは びょういんいってて もうみた」
おにいちゃんが
「みんないったかい?」
わたしにきいた
「いったよ あくつくんとかあんちゃんとか みんないったよ」
「ふうん」
て いいました
おにいちゃんが
「まさえ ごはんたべようか」
「うん」
おにいちゃんわたしにきいた
「なににする」
わたしは
「おそば」
おかあさんは
「おべんとう おかあさんがごはんをあさつくった べんとうあるよ」
おかあさんがいいました
おかあさんがいいました
「としひろ おべんとうあまっちゃうよ かってくるとべんとうあまっちゃうよ」
おにいちゃんがいいました
「まさえのすきなものかってたべようよ」
おにいちゃんがいいました
「だめ」
おかあさんが
「だめだよ」
おにいちゃんが
「しょうがない おかあさんがつくったものたべようか」
そしてたべました
たべて あっちこっちあるき かっていきました
うちについた
べるはまってました
「わんわんわんわん」
おにいちゃんが
「べるかえってきたよ にくかってきたよ」
ねこがきいて
「にゃんにゃんにゃん」
わたしのこえきいて
「にゃんにゃんにゃんにゃん」
わたしがゆった
「ただいま かえってきたよ たろうただいま はなこもただいま」
「たろう かってきたよ さかな」
たろうがゆった
「にゃん ありがとう」
と いった
はなこもちいちゃんもべるも ありがとうといいました
                          (1996.9.27.)

あかぎやま

わたしは
あかぎやまへ
いきました
おにいちゃんと
おかあさんと
べる
べるうるさい
わんわんわん
いこうよと
なく
わたしのとこへ
きて
わたしは
てれびみてた
べるがきた
ねえおねえちゃん
いこうよ
あかぎやま
ゆいました
わたしはゆった
べる
いこうね
ゆいました
わんわんわん
わたしの
かおなめた
べるが
わたしがゆった
やめてよべる
なめちゃやだよ
べる
おかあさんのとこへ
いきなさい
いっちゃった
べるは
おかあさんに
あまえてる
おかあさんがゆった
なによべる
わんわんわん
どこかへつれてって
ゆいました
おかあさんは
べる
いまいそがしいの
おかあさんは
べるがゆった
なんだあ
またおねえちゃんの
とこへいく
わんわんわんわん
またきた
わたしがゆった
なんだよべる
またきて
おれ
おかあさんに
ゆわれちゃった
いそがしいんだって
おれ
どこかへつれてってよって
おかあさんに
ゆいました
おかあさんが
いまいそがしいからって
だめだって
わたしにゆった
ああそうかい
じゃあべる
かようびまで
まってて
おねえちゃんが
いいところ
つれていくよ
ちょっとまってて
おにいちゃんが
くるまで
まっててよ
べるがゆった
おれ
まってるよ
いいました
おにいちゃんがきた
よる
おそくなってきた
べるが
わんわんわんわん
おにいちゃんはやく
あそぼう
おにいちゃんがゆった
とってやるよ
くびわ
あしふいて
よくふいて
おにいちゃんが
うちへいれた
おかあさん
べるが
おにいちゃんがゆった
このべるは
あしふいて
うちにはいる
あしふかないと
ぜったい
うちへはいんない
このべるは
あたまいいよ
おもてでまってる
ちゃんとあしふいて
はいってくる
あたまいい
きがついてんだな
あしふかないと
そとでまってる
おにいちゃんが
ゆいました
おかあさんがゆった
そうだよ
としひろ
あのべるは
あしふかないと
はいってこない
まえのいぬとちがうよ
あかぎやまいって
べると
わたしで
あるいた
うみんとこ
あるいた
べると
ふたりで
ごはんたべた
べるは
ぱんきらい
たべない
だから
わたしのごはん
やった
わたしが
ぱんたべた
おにいちゃんがゆった
このべるは
ちょっと
にんげんみたい
すききらいある
おにいちゃんが
わたしにゆった
うちへかえると
べるは
やすいえさ
ここにおいて
ぜったいたべない
べるは
てでこうやって
いらないよって
いう
おかあさんにいう
おかあさんが
こまってる
おかあさんがゆった
まさえよ
たかいえさ
かってくるから
うちにいて
まさえ
ちょっといってくる
はい いってらっしゃい
わたしは
べると
おはなしした
なんでべるは
えさたべないの
だって
あのえさまずい
わたしはおこった
だめでしょべるは
まずいとゆってて
だめでしょ
たべなさい
やだ
わんわんわんわん
わたしにゆった
だっておれ
ここくるまえ
むこうのいえいた
ごはん
むこうのいえ
べるがゆった
いっかいぐらい
くれない
むこうのいえは
いぬ
いっぱいいた
こっちは
べるがゆった
おれは
むこうのいえ
やだった
いぬいっぱいいたから
ここはいないよ
ねこだけ
べるがゆった
だからおれは
ここへきて
よかった
あのいえ
いぬいっぱいいたから
おれ
ほんとはやだった
あんちゃんが
おれを
かって
こっちのいえ
きた
おれよかった
おねえちゃん
あえてよかった
おかあさんも
やさしくて
あと
おにいちゃんも
やさしい
あと
おとうとも
やさしいし
おれ
ほんとによかった
べるがゆった
ねえちゃん
いつくるの
こんどはしょうがつ
なんだあ
さびしいよおれ
わたしはゆった
だって
しょうがないよ
また
おしょうがつに
あえるよ
    1996.12.9.


おおしませんせい

おおしませんせい
わたし
きいちゃった
かのじょいるんだって
いつごろ
できた?
わたしはしらなかった
おおしませんせいが
よく
おはなししてくれた
ここへきて
あれはよる
おおわだせんせいと
ここへきてくれた
おおしませんせいが
おはなしをしたり
たいそうをやってくれた
おおわだせんせいと
あとは
しをかいてくれた
ふたりで
おおわだせんせいと
わたしは
あのせんせいは
やさしいなとおもいました
だってわたしのこと
ここへきて
おおきなこえで
まさえちゃん
おはようとゆった
いつも
こえをかけてくれた
おおしませんせいは
もう
ここへはこないが
ときどき
あそびにきます
また
こえをかけてくれます
どんな
むこになるのかな
きっと
やさしいむこになるのかな
よめさんも
やさしいよめさんかな
わたしはみたいです
おおしませんせい
よめさんをみせてください
おめでとう
おおしませんせい
わたしに
ここへきて
こんど
きねんしゃしんを
みせにきてね
おめでとう
おおしませんせい
がっこうやめちゃうの?
おしえてください
            (1996.12.17.)

まいちゃん

まいちゃんも
もう
ここから
いなくなっちゃう
わたしは
さみしい
かなしい
だって
まいちゃんは
ここの
あいどるだった
なんくもせんせいが
さみしいな
かなしい
なんくもせんせいが
まいちゃんのこと
かわいがってくれた
いつも
なんくもせんせいと
いっしょに
べんきょうしていた
なんくもせんせい
まいちゃん
こえをかけて
おはなししていた
          (1996.12.19.)

いしいさん

おめでとう
わたしとは
ながい
つきあい
いしいさんが
ここへきて
はじめて
わたしと
おはなしした
あれは
くりすますのころ
あくつくんと
ゆきえちゃんと
あんちゃんと
うたを
うたったり
おゆうぎ
やったり
いろいろあったけど
もう
いしいさんが
よめにいっちゃう
せんせいんとこへ
よめにいく
いしいさん
なんで
せんせいと
けっこんするの?
おおしませんせい
まえから
すきだったの?
おしえてください
わたしに
いしいさんは
きっと
いいおくさんになるよ
こころが
あったかいから
いいよめさんに
なるとおもう
わたし
おもう
きっと
かていを
まもるでしょうね
あとは
いしいさん
ちっちゃいこ
すきだから
あかちゃんのこと
いっしょうけんめい
めんどうみるのでしょうね
ふたりで
あったかい
かていを
つくってください
       (1997,1,31)

はつゆき

わたしが
いえかえったとき
いちがつの
ふつか
ゆきが
ふりました
わたしが
おかあさん
はつゆき
おかあさんが
ほんとだまさえ
ねこが
うちへ
はやくかえってきた
ないて
ねえおかあさん
さむいよ
はなこが
ゆいました
おかあさん
さむいよ
おかあさんが
あまえんぼだな
はなこは
べるが
かわいそうに
おかあさんがゆった
べるなんか
そといるよ
おかあさんが
ゆいました
ねこはいいな
いえはいってきて
いぬなんか
そとで
まつだけ
はなこは
まだいいよ
ねえおかあさん
ひとりで
ねこは
どこか
あっちこっちあっちこっち
ゆく
べるなんか
あっちこっちに
いけない
かわいそうだな
わたしは
おもいました
いっぱい
ゆきが
ふってきて
べる
わんわん
ないた
おかあさん
さむいよー
うーん
おかあさんが
こまるよ
べる
こまるよ
だって
うちはおけない
にわで
がまんしてよ
べる
わんわん
やだよ
おかあさんたら
べるが
おかあさん
なかにいれてよ
おかあさんが
だめだよ
わんわんわんわん
ないてた
わたし
おもった
はるになれば
べる
また
どっかいこうね
あったかくなったら
べるいこうね
また
べる
ないちゃやだよ
おかあさんが
こまっちゃう
わかったかよ
べる
ゆった
わんわんわん
わかったよ
ねえちゃん
わかったよ
         (1997.2.3.)

たかざわさん

たかざわさん
ながいあいだ
どうも
ありがとうございました
わたしは
きいたとき
わたしは
えーっ
うそーっ
いっちゃうの!
たかざわさんが
わたしにゆった
まさえよ
おれ
こんど
あしかがびょういんと
わかれなきゃなんないんだ
わたしはゆった
なんで?
いまごろになって
だいたい
うめのころ
いっちゃう
だから
わたしは
はるがやだな
さみしいな
まえは
はぎわらせんせいもいっちゃったし
こんどは
たかざわさんもいっちゃう
わたしたち
こまっちゃうな
ゆきえちゃんが
きょう
ゆってた
こまっちゃうね
わたしがゆった
ねえゆきえちゃん
だって
しょうがないよ
えらくなるため
ほかいって
つとめると
もっとえらくなるよ
たかざわさん
ちがうびょういん
いっても
みんなのこと
わすれないで
ください
       (1997.3.11.)

やまださん

いちねんかん
ここにいた
やまださん
どうも
ありがとうございました
わたしが
なかにいると
いつも
おそうじ
やってた
わたしがゆった
なんで
おそうじ
いっぱいやってるの?
やまださんが
ゆった
あの
わたしは
ここへ
しごとにきたよ
わたしがゆった
ああそうか
あるひ
わたしが
しーでぃー
きいてた
よしだみわの
しーでぃーを
きいてた
やまださんが
ここへきて
まさえちゃん
だれのしーでぃー
きいてるの
あの
よしだみわ
やまださんが
ゆった
あとでかして
はい
わたしがゆった
いいよ
かしてやるよ
まさえちゃん
ありがとう
ゆいました
わたしがゆった
なんで
やまださんは
よしだみわのうた
すきなの
ゆまださんがゆった
すきよ
ゆいました
       (1997.3.26.)
(※看護助手の山田さんとのお別れに際して)

たかのせんせい

たかのせんせい
わたしが
はじめて
たかのせんせいとあったとき
わたしは
どんな
せんせいかな
なんくもせんせいにきいてみた
なんくもせんせいがいいました
まさえちゃん
いいせんせいだって
なんくもせんせいがいいました
まさえちゃん
いいせんせいだって
なんくもせんせいがいいました
またゆった
まさえちゃんよ
たかのせんせいと
おはなししてごらん
わたしが
えー
まだはずかしいよ
いいじゃないの
なんくもせんせいがいいました
あそこいって
おはなししてこいよ
わたしが
いきました
わたしがゆった
こんにちは
たかのせんせいが
ゆいました
あなたは
やまなかせんせいのおくさんが
たんにんだった
まさえちゃん?
そうです
わたしゆった
よくしってるねえ
だってわたし
やまなかせんせいのおくさん
しってる
わたしゆった
なんでしってるの?
たかのせんせいがいいました
やまなかせんせいから
きいたもの
えー
たかのせんせいがゆった
まさえちゃん
まさえちゃんって

うまいんだって?
たかのせんせいが
ゆいました
わたしゆった
だれにきいた?
おおわだせんせいから
きいたよ
たかのせんせいがゆった
まさえちゃんよ
あとでみせて
あいよ
わたしゆった
みせてやった
うまい
まさえちゃんがゆったの?
ほんとよ
たかのせんせいがゆった
こんど
おおわだせんせいにきいて
わたしも
かいてやるよ
わたしは
いいよだいじょうぶ
たかのせんせいに
ゆいました
たかのせんせいがいいました
おおわだせんせいにきいてみる
ちょっといってくる
おおわだせんせいのところへ
いきました
たかのせんせいが
おおわだせんせいと
ここきた
わたしは
びっくりした
たかのせんせいがゆった
おおわだせんせいよ
わたしに
やらしてください
おおわだせんせいがゆった
ちょっと
ききづらいこと
ある
おれだって
ききづらいことあるよ
たかのせんせいがゆった
へいき
やってみる
だけどわたしは
あまりうまくないよ
おおわだせんせいが
ゆってるとおり
ききづらいよ
わたしがゆった
たかのせんせい
ききづらいのはいいの?
わたしにまかしておいて
わたしが
こまっちゃうよ
おおわだせんせいにゆった
おおわだせんせいが
まさえちゃん
やってみろよ
ゆった
おれだって
いそがしいから
あまりこないよ
たかのせんせいと
やってみなよ
やってみたら
わかる
たかのせんせいが
すぐわかる
わたしが
おおわだせんせいに
きいた
あのー
たかのせんせいが
すぐわかって
かいちゃう
おおわだせんせいは
えー
おれだってわかんないよ
わたしがおおわだせんせいに
きいてみた
たかのせんせいが
なんでわかるの?
おれしらない
おおわだせんせいがゆった
おれわかんないのに
たかのせんせい
すぐわかっちゃう
おおわだせんせいがゆった
まさえちゃん
たかのせんせいと
うまくやってください
おおわだせんせいが
いまいそがしいから
たかのせんせいに
かいてもらいなさい

あるひ
たかのせんせいが
ゆうちゃんと
べんきょうしてた
わたしは
たかのせんせいのとこへきた
たかのせんせいがゆった
なに?まさえちゃん
また

かいてもらいたい?
ゆうくんべんきょう
おわってから
かいてあげる
ゆうくんべんきょうおわって
たかのせんせいきた
わたしのへやきました
わたしが
えをかいてるとき
きた
たかのせんせいがゆった
まさえちゃん
えもかくの?
たかのせんせいが
びっくりした
まさえちゃん
しを
かこうか
うん かいて
かいた
わたしが
もうかいちゃったの?
わたしのいう
ことば
わかるの?
わかる
えー
びっくりした
おおわだせんせいはわかんない
たかのせんせいは
いちねんたってない
もうわかってる
びっくりした
わたしが
たかのせんせいにききました
なんでわかるの?
わたしだってわかんないよ
たかのせんせいのこと
たよりにしようと
おもった
たかのせんせいは
わたしののーと
まさえちゃんこれ
かして
わーぷろうってくるから
わたしが
いいよとゆった
かしてやるよ
いいました

わたしが
あるひ
うたをとってた
たかのせんせいがきた
なにやってるの
うたとってるの
さだまさし
おおわだせんせいに
とってあげるの
たかのせんせいにも
とってあげようか
てーぷ
もってくるよ
わたしがきいた
なんのうたがいい?
ゆーみんある?
あるよ
いちばんあるよゆーみん
じゃあこのうた
はるはやくこい
じゃあとってやる
わたしは
あきに
いきました
おんせん
しおばら
たかのせんせいに
おみやげかってきた
きーほるだー
かってきました
たかのせんせい
いいものあげる
まさえちゃん
ありがとう
いいえ
たかのせんせいが
どこのおんせん?
しおばら
えー
たかのせんせいがびっくりした
たかのせんせいがゆった
わたしんとこだ
わたしがゆった
たかのせんせいのうち
しおばら?
そうよ
おはなしした
たかのせんせい
はいったことある?
まだない
たかのせんせいのうちは
おかあちゃんと
おとうちゃんと
いるの?
あとふたりおとうと
せんせいゆった
まさえちゃんのところは?
おかあちゃんと
おにいちゃんと
わたしと
おとうと
えー
まさえちゃんは
おんなのこひとり?
たかのせんせいとおなじよ
たかのせんせいがいいました
おとうさんは?
もういないの?
わたしのちっちゃいころ
やまからおちて
なくなっちゃったの
しが
かいてある
しをみて
たかのせんせい
ないてた

たかのせんせいが
またここへ
おはよーって
きた
ゆうくんとこへきた
あれ
ゆうくんいない
いま
かぜ
むこうのへやいる
あくつくんも
ゆうちゃんとこいる
たかのせんせいは
あくつくんにきいた
まさえちゃんは
どこへいった
はちごうしついるよ
なんで
かぜ
みんなかぜだって
あくつくんがゆった
わたしうつっちゃうよ
ゆいました
あくつくんとたかのせんせい
おはなしした
わたしはみてた
たかのせんせいが
わたしのとこへきた
なんだここか
あくつくんとゆうくん
いっしょにいる
あけちゃんとまさえちゃん
ここ?
うつっちゃうから
あるひ
おおわだせんせいがきた
まさえちゃん
たかのせんせいが
いっちゃうんだって

かいてやるよ
わたし
うそー
こまっちゃうよー
しをかけなくなっちゃうよ
わたしは
こまる
また たかのせんせい
ここへきた
まさえちゃん
やまださんが
いっちゃうんだって

かいてやるよ
これで

さいご
もういっちゃうから

ありがとう
たかのせんせい
しを
かいてくれて
どうもありがとう
わたしにとって
たかのせんせいは
たいせつなせんせいだったのに
もう
いっちゃう
もう
しもかけない
もう
おはなしできない
もう
たかのせんせいのこえ
きけない
わたしは
さびしい
むこうへいっても
がんばってください
        (1997.4.4.)
(※高野瑞枝先生とのお別れに際して)

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